シリーズ6月議会一般質問~②子どもの貧困

言葉だけで終わらせない

課題を先送りにしない

区政において、どの施策についても重要な視点だと思います。

その中でも、「生活に苦しい家庭環境で育つ子ども」を支えることについては忘れてはならない視点だと、議員活動の中で常に肝に銘じています。

「貧困の連鎖を断ち切る」という言葉だけでは、絶対にダメですし、子どもに必要な環境整備、特に教育環境の整備は、貧困の連鎖を断ち切るうえでカギとなるだけに、整備の先送りは、子ども自身が未来を切り開くチャンスを奪う「行政の怠慢」であると思っています。

新たな貧困を生まない、貧困を広げない、そのためには、子どもが生まれ育った環境に左右されることなく育っていける環境整備、教育の支援を、「子どもの今」に間に合うようにいかに整備していくか、それは行政がまったなしで行うべきことです。

すべての子どもが社会の担い手となる将来を想うと、子どもの健やかな育ちを支えていくことは社会の責務であり、今以上に子ども達に届く仕組みが必要だと思っています。

6月議会では、「子どもの貧困問題」について、このような「子どもの今」という視点から様々な一般質問を行いました。

 

②テーマ:子どもの貧困

【一般質問全文】

▼Q:文京区の子どもの貧困率は?

乳幼児期から学童期、青年期における貧困格差の問題は、子どものライフステージごとに様々な影響を与え、子育ての選択から世代間の貧困の連鎖へつながると指摘されています。

文京区の子どもの状況がどのようになっているか「見える化」し、現実に即した計画が重要です。文京区の子どもの貧困率はどのようになっているでしょうか。

 

▼A:成澤区長

本区の子どもの貧困率の数値は持っておりませんが、生活保護世帯における子どもの数など一定の状況は、把握しております。 なお、現在、国の子どもの貧困対策に関する大綱等を踏まえ、状況把握を進めております。

 

▼海津の視点:

子どもの貧困対策の取組みを加速させるには、区内の子どもがどのような状況になっているか実態を把握した計画があってこそ、現実に即した計画が立てられるはずです。にもかかわず「把握していない」というのは、必要な施策を十分に行う意思がないとも見えてしまいます。

速やかに状況を把握して、親の経済格差に左右されることのない、子ども達に必要な環境を整備することを求めていきます。

 

▼Q:足立区では「子どもの貧困」は「個々の家庭を取り巻く生育環境全般にわたる複合的な課題」と認識。文京区は?

足立区は「子どもの貧困」を家庭の経済的な困窮だけでなく、地域社会における孤立や健康上の問題など、個々の家庭を取り巻く生育環境全般にわたる複合的な課題と認識し、子ども達の将来を見据え「貧困の予防、連鎖を断ち切る」ことを目標に取り組んでいるとのことです。

文京区は「子どもの貧困」について、どのような基本理念や方針、目標を描き、取り組んでいるのかお聞かせください。

 

▼A:成澤区長

「子どもの貧困対策の推進に関する法律」において定めた、「子どもの将来がその生まれ育った環境に左右されることのない社会を実現する」との基本理念を踏まえ、すべての子どもたちが夢と希望を持って成長していける社会の実現を推進してまいりたいと考えております。

 

▼海津の視点:

「生まれた環境」という、子どもにはどうしようもないことに、子どもが「あきらめ」を覚えることなく、子ども達自身が「生まれてきて良かった」と実感できる具体策を提案していきます。

 

 

▼Q:学力調査結果を「要保護家庭・準要保護家庭・その他」の三段階にわけて分析し、支援計画の基礎データとすべきでは?

文京区は常に、全国学力調査の結果について「全国・都の平均をともに上回っていて良好」と平均点をおっかけ、学力がつかないのは各家庭の養育力の問題や、自己責任にすり替えることが見受けられます。調査結果を基に、区内の小中学校から抽出調査でよいので、「要保護家庭・準要保護家庭・その他」の三段階にわけて学力の正答率などを調べ、社会全体で子どもの学びを支える計画策定の基礎データとする必要があります。「要保護家庭・準要保護家庭・その他」 の三段階に分けた学力分析はどのようになっているかお聞かせください。

 

▼A:南教育長

各学校では「要保護家庭・準要保護家庭・その他」のような家庭の経済状況に関わりなく、子どもたち一人ひとりの学力を保障するという観点に立ち、様々な取組を行っております。

具体的には、少人数の習熟度別指導や、放課後補習などの取組を行うため、教職員等の指導体制を充実し、きめ細かな指導を推進しております。

また、地域による学習支援の観点から、放課後子ども教室や学校支援地域本部、土曜日の教育支援活動等の取組を推進し、放課後等の学習支援を行い、子どもの状況に配慮した支援の充実を図っております。

これらのことから、「要保護家庭・準要保護家庭・その他」の三段階に分けた学力分析を行う考えはございません。

 

▼海津の視点:

貧困の連鎖を止めるために現状の施策で足りているのか、その検証は必須です。

足りなければ、新たな施策を補充していく必要がありますが、データなしでは「足りている」という教育委員会の自己満足で終わってしまいます。教育は、貧困の連鎖を止めるためにも不可欠なことです。

教育格差をなくしていくことは、将来の社会保障の支出の削減につながります。実態を的確に把握することは、子ども達を応援する施策の実効性を高めるだけでなく、区の施策を区民が理解していくために必要な根拠ともなるものです。その有効な手段の一つとして、区内の要保護家庭・準要保護家庭、そうした家庭以外の子ども達の学力との相関を学力調査などで調査分析すべきです

「要保護家庭・準要保護家庭・その他」 の三段階に分けた学力分析を行い、子どもが未来を切り開く力を保証できる学習支援に結びつけることを引き続き要望していきます。

 

 

▼Q:子どもの貧困対策は横断的かつ総合的に全庁あげて取り組むべき。各部の役割は?

「子どもの貧困」を予防し、連鎖を断つ上では、福祉部門や子育て部門、保健センターに限らず、まちづくりを担う都市計画課など各部所が各々にも関係する問題であると認識し、横断的かつ総合的に全庁あげて取り組んでいくことが重要だと思います。「子どもの貧困対策というのは究極の高齢者社会対策にもなる」との指摘も聴きます。各部それぞれが、子どもの貧困対策について役割として何ができると考えているのか、区長は各部に対し具体的にどのような期待をされているのか伺います。

 

▼A:成澤区長

子どもの貧困対策に必要な教育支援、生活支援、保護者に対する就労支援、経済的支援など、各部それぞれが専門的見地から貧困の連鎖を断ち切る施策を進めることができるものと考えております。

さらに、個別の課題を超えた連携・支援に取り組む横断的な組織として、子どもの貧困対策庁内連絡会を立ち上げたところです。

これらにより、子どもの貧困対策を、総合的に推進できるよう努めてまいります。

 

▼海津の視点:

各部が「子どもの貧困対策」として自分たちにできることは何か? 今回の答弁からは見えてきません。自分たちの目標を明らかにして役割を意識してこそ、具体的な予算を組むことにつながります。各部ができることは何があるのかをしっかりと具体的に認識し、来年度の予算に反映していくように要望していきます。

 

 

▼Q:沖縄では就学援助を知らない人が2割、知っていても利用していない人が半分。文京区は?

どんなに施策を整えても当事者に届かなければ支援が「ない」のと同じです。

沖縄県では、学校で必要な教材費などを援助する就学援助を知らない人が2割、知っているものの利用していない家庭が半分いたとのことです。文京区ではどのような実態でしょうか。既存の支援制度が必要な家庭で機能しているのでしょうか。見解をお聞かせください。

 

▼A:南教育長

就学援助につきましては、新年度当初に全児童・生徒を対象に資料を配布するとともに、区ホームページによって年間を通じて広く周知を図っており、必要な家庭に就学援助に関する情報が行き渡っていると考えております。

 

▼海津の視点:

情報を出すことと、情報が確実に届き、必要な人が活用できているかはまったく別問題です。情報を出せば自分たちの役割が終わったと思っているようでは、意味がありません。 出した情報がどのようになっているか、各校で実施される学校評価のアンケート項目で質問する等、実態把握に努め、確実に援助が届き、必要とする家庭が活用できるように求めていきます。

 

 

▼Q:和光市では介護保険制度を活用してケアマネージャーが各家庭の状況を聴き取り関係機関との連携で子育て支援を行っている。文京区でも取り組むべきでは?

和光市は、子どもが親の経済状況に左右されずに教育を受け、各家庭に則した子育てが支援できるように、介護保険の仕組みを応用して、ケアマネージャーが、親の困りごとや子どもの状況を聴き取ったうえで、医師、臨床心理士、教員、保育士、消費生活相談員等々と会議を持ち、個々のケアプランを作成しています。さらには、プランの見直しや達成度を評価する取り組みも始めています。文京区でも是非、取り組むべきではないでしょうか。伺います。

 

▼A:成澤区長

本区においては、「文京区版ネウボラ事業」において、妊娠期から出産・子育てと、切れ目のない相談支援に取り組むとともに、乳幼児等リスクの高い家庭については、子ども家庭支援センターを中心に関係機関によるケース会議などを行い、必要な支援に結びつけているところです。 なお、介護保険制度の仕組みを応用したケアマネージャーについては、今後の研究課題としてまいります。

 

▼海津の視点:

何を困っているのか、自分は困っていると言っていいのだろうか?? と思うことはありませんか。

SOSを出すのは得意ですか?

困っていることさえ自分でわからなくなってしまい、SOSを出すことが苦手な親や子も少なからずいます。

各所管が自分の仕事領域のみで支援を行い、トータルに支援をしていく視点にはまだまだ課題がある現状では、困り感を見つけ出すこともできづらいと思います。教育・福祉・保健・住宅など様々な分野がつながり、とぎれることなく親や子に寄り添い支援していくには、ケアマネージャーは必要です。研究は今年度中に行い、来年度には子育てをトータルに支援する仕組みをスタートするように求めていきます。

子どもの貧困

 

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