「子ども子育て支援調査特別委員会」 子育てと仕事の両立を支援することとは!?

「子育てと仕事の両立」を行政が支援することは、とても重要です。

深刻な待機児童問題を解消すべき緊急性と共に、「子どもが遊びを自ら創りだして、遊びきれる」ような環境を整備していくことも重要です。 さらには、複数の子どもがいる家庭の場合に、一人の子どもだけに心や時間を向けるのではなく、他の兄弟姉妹にも同時に向けられるように、様々な家庭環境を想定した施策にしていくことこそが、子どもの育ちを支え、同時に、親の人生も応援する子育て支援であると強く思っています。

園庭は子どもたちにとって屋根のない保育室

 

月曜日に開催された「子ども子育て支援調査特別委員会」では上記のことを視点に質疑しました。以下にいくつかご報告します。

 

◆ 子ども・子育て支援事業計画の改定 

平成28年度より、『子育てひろば江戸川橋』『子育てひろば西片』の二か所で、日曜開室を実施することになりました。これまでは、日曜日は閉鎖され、せっかくある施設を活用できていませんでした。これからは寒い日や暑い日、雨の日などにも無料で遊べる場ができることは嬉しいことです。

 

ただし、現状の子育てひろばは、小学生のきょうだいが一緒に遊ぶことはできないルールです。小学校低学年の子どもなど、休日に弟妹を連れて親が遊びに行ってしまうことを淋しく感じる子どももいると思います。

特に、ひとり親家庭だったり、日曜日に両親のどちらかが仕事だったりすれば、就学前の子どもだけを連れて、小学生を置いていかなければならないために、結局のところ、子育てひろばを活用できないというケースも十二分に考えられます。上の子どもを育てることも同時に想定してこそ子育て支援です。

 

そこで、小学生も低学年のうちは利用できるようにしてもらいたい、と要望しました。

“低学年であっても幼児とぶつかるなどすると危ない”と慎重な姿勢を崩さない区の答弁でしたが、子育て支援という観点からは、小学校低学年の子どもを置いて出かけることを前提にするのは、やはり問題です。アメリカでは小学生をひとりきりで家で留守番させると、虐待とされることもあるほどです。

保育園を退職した園長経験者の方々も子育てひろばの職員として働いています。小学校低学年のお兄ちゃん・お姉ちゃんが一緒に来られるようにルールを改定する必要性を十二分に理解していただけると思います。ぜひ実現するようにしてもらいたいと要望を重ねて行いました。

 

*子ども・子育て支援事業計画の改定について

http://www.city.bunkyo.lg.jp/var/rev0/0105/6903/3_12_kodomokosodate.pdf 

 

◆ 平成28年度4月保育園等入園児の応募状況について

お茶の水女子大学こども園は、0~5歳までの保育園部分の募集49人に対して、応募が266人で、どこの園よりも倍率が高く期待の大きさが垣間見えます。

また、実際に承諾書が届いた指数をみると、お茶の水女子大こども園は、0歳児で他の園が大方26点であるのに対して28点、1歳児は29点となるなど内定基準も高くなっています。

 

平成28年度4月保育園等入園児の応募状況について

http://www.city.bunkyo.lg.jp/var/rev0/0105/6904/3_13_hoikuentou.pdf 

指数一覧

http://www.city.bunkyo.lg.jp/var/rev0/0106/4364/shisu28.4-1.pdf 

 

◆ ハッピーマム茗荷谷の募集における二次選考再開について

一次選考では募集を中止していたハッピーマムの募集を二次選考で再開することについて、多くの議員から疑問視する質疑が相次ぎました。

一次選考の時点で、ハッピーマムに4月以降も残る子どもの数は、12月時点の38人から15人に減少。二次選考が終った時点ではさらに減る可能性も示唆されました。

 

ハッピーマムの保育の現状に対して、区が明言するように「運営体制が整った」と判断する基準と、保護者が望む「不安のない保育がなされる運営体制の整備」の内容には大きなズレがあることが明らかです。

二次選考で入園した子ども達の保護者が「こんなはずではなかった…」と不安を抱えることになったり、ましてや、子ども達に不適切な保育があったりしてはならないことです。

区立保育園を退園した園長等がハッピーマムに就職すること等で、保育運営体制を強化する必要性を強く要望しました。週一回の区からの巡回指導だけでは、在園児童の保護者の不安を払拭して、安心と安全を実感してもらえるようにできるとはとても思えません。

 

◆ 文京区版幼児教育・保育カリキュラムの策定について

幼稚園・保育園の子ども達に同様の保育・教育を保証していくことは望ましいことです。が、あくまでも園庭があることが前提です。

建て替えが計画されている区立青柳保育園の仮園舎は、2年間園庭がない中で、実質保育をすることになります。「文京区版幼児教育・保育カリキュラム」に照らして検討した仮園舎とは思えません。

 

会派に対して説明がなされた時点では、“園庭を設けることはできず、児童遊園の土地を取り込んだとしても、園舎でいっぱいいっぱいになる”とのことでした。

しかし、委員会での答弁では“設計をしてみないとわからない”とされ、まるで、設計を業者に依頼して、園庭ができなければしょうがない・・・とでも言うような、無責任な区の姿勢が透けて見えます。

実際のところ、区がどれほどの施設を建てられるかの試算をせずに仮園舎を決めることなどあり得ません。やってみなければわからない・・・などという行き当たりばったりの仕事が許されるはずはないのです。

 

文京区立中学校で一番広い校庭を持つ音羽中学校のグランドに仮園舎を作ることの検討を具体的に行っていない理由として、“坂を上る負担や、中学生の部活等に影響を及ぼす、体力づくりにも影響がある”との答弁がありました。

しかしながら、坂は区内にいくつも点在するものであり、坂以上に子どもの日々の育ちの環境を重視したい保護者は多くいます。 中学生の体力づくりの工夫はいくらでも選択肢があるのに対して、園庭で遊べない幼い子ども達の体力づくりは極めて強い制約を受けます。小学生の体力がないことが課題となっている昨今であれば、なおのこと、まずは幼児期をないがしろにしてはいけないのではないでしょうか。

 

また、中学生にとっても、「園庭がある幼稚園や保育園で育ってきたからこそ今の自分がある」ことを中学生自身にみつめさせ、自分たちの環境を幼児期の後輩に譲ることの意味や必要性、そのためにどう工夫するか、などを教育機会として考え、学ぶことにも大きな意義があるのではないでしょうか。

 

さらには、同じ保育料を払いながら、他の区立保育園とは明らかな格差がある保育環境をどのように補てんしていくか。文京区の大きな課題です。

前例に捕らわれず、立ちはだかる課題すらも、例えば中学生のさらなる教育の生きた教材とするチャンスと捉えるなど、ポジティブな発想転換が必要です。

 

園庭のない環境の補完として、区立幼稚園・保育園に限らず、私立保育園等でも、どの子も主体的に「遊びを自ら創りだし、遊びきれる」環境を届けたいと心から思います。

小中学校では「アクティブ・ラーニング」が推進されています。幼いころの自主自発的な遊びは、その素地をつくる意味でも欠かせない体験であるはずです。

 

* アクティブ・ラーニングとは (文部科学省 用語集より)

教員による一方向的な講義形式の教育とは異なり、学修者の能動的な学修への参加を取り入れた教授・学習法の総称。学修者が能動的に学修することによって、認知的、倫理的、社会的能力、教養、知識、経験を含めた汎用的能力の育成を図る。発見学習、問題解決学習、体験学習、調査学習等が含まれるが、教室内でのグループ・ディスカッション、ディベート、グループ・ワーク等も有効なアクティブ・ラーニングの方法である。

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